理系作業療法士のブログ

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OTなら知っておきたい!栄養不良の見方

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OTをする上で栄養の知識は必須です。

こんなことはありませんか?

「一生懸命リハをやっているはずなのに、なぜかADLが上がらない」

これは栄養不良が原因かもしれません。

そんな時は血液生化学検査とBMIを見直してみてはいかがでしょうか。

「難しそう」 

「分からないし、医者じゃないからいいや」

と思うかもしれませんが、意外に簡単で便利なので紹介します。

まず、そもそも栄養不良だと何が起きるのでしょうか?

感染症の危険因子になりやすい

肺炎を始めとした感染症のリスクが高まりますので、摂取量を確保できない場合は注意が必要です。

OTは食事動作を見る機会は多いので、内科的に見る視点を持てると少し臨床が変わります。

サルコペニアになりやすい

1989年にRosenbergが「筋肉の老化」(筋量減少・筋力減少)をサルコペニアと名付けました。

加齢に伴って筋量が減少するサルコペニアの有症率は男女ともに20%程度であるとされています。

サルコペニアの原因は加齢、栄養不良、不活動、疾患と多岐に渡ります。

サルコペニアの診断では筋量の測定が必要で、

臨床的には測定が難しく、BMIや生化学血液血液で測定します。

 

ボディマスインデックス(Body Mass Index:BMI)

計算式は

BMI=体重(kg)÷{身長(m)✕身長(m)}

で計測できます。

身長はメートル表記なので、例えば170(cm)なら1.71(m)として計算します。

正常値は18.5〜25.0です。

正常値より低値であれば、運動は控えめにしたほうがいいこともあります。

 

アルブミン(Alb:Albmin)

アルブミンは血清タンパクの50~70%を占めています。

正常値は3.7〜4.9g/dLです。

低値の場合、低栄養や肝不全、慢性炎症による消耗が考えられます。

アルブミンが3.0以下かつBMI18.5以下の場合は、関節可動域訓練などの負荷の少ないものがいいです。

積極的な運動をしても痩せていってしまい、効果は出ません。 

 

血清総タンパク(TP:Total Protein)

血清中に含まれるタンパクの総量を測定する検査で、

正常値は6.3〜7.8g/dLです。

低値の場合は低栄養、ネフローゼ症候群、肝/腎不全、悪液質、感染症などが考えられます。

 栄養不良の状態で運動するとはどういう状態か?

カロリーが不足すると、身体は自分自身の筋肉組織である

タンパク質・脂肪を分解し、それをカロリーとして使用します。

離床するとカロリー消費が増し、栄養状態を悪化させる可能性があります。 

 

栄養状態の改善方法

単純に食事量を増やせればいいのですがまあ無理です。

そこで「メイバランス」や、「りはたいむ」などの補食を追加して

タンパク質などを多く摂取することが必要です。

もちろん限界はありますが、たくさん食べるよりは現実的です。

味も何種類か用意されているので、好みの味で摂取できます。

 

もう一つは、低栄養である場合は、勇気を持って運動量を減らすことです。

机上課題や作品を作るなどの活動は、軽い運動負荷で行えるため、

作業療法は低栄養の患者さんに結構適しています。

 

栄養不良とノルマの葛藤 

「そうは言っても単位数を稼がなければならない」

「運動しなければ良くならないのでは?」

「運動をしていないとサボっているように見える」

などは思い込みです。

患者さんにとっての利益を優先しましょう。

リハを減らす事は、めちゃくちゃ勇気がいりますがそのほうが良い場合も結構あります。

 

余談:栄養の重要性を実感するために筋トレをしてみた

栄養の重要性を知識では理解はしていますが、実際どうなのか?

体感してみようと、1ヶ月間バルクアップ(筋肥大)を目指して実際に筋トレして

プロテインを摂取したり食事のタンパク質を多くしてみました。

結果としては、肩や腕の筋肉の疲労が減りました。

握力や腕の太さは、ほぼ変わりませんでしたw

マシンを使わず自重だけではまあこんなものかと。

ただ、自分でやってみると筋肉量が増えるにつれてお腹が減るのが早くなったり

筋肉量を維持するのが大変なことが実感できました。

ご興味のある方はぜひ一度体験してみてください!

 

参考・引用文献

島田裕之(編):サルコペニアと運動 エビデンスと実践.医歯薬出版株式会社.2014

長尾大志:レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室 改訂第2版:日本医事新報社:2015

亀田メディカルセンター(編):リハビリテーションリスク管理ハンドブック 改訂第2版.メジカルビュー社.2013

曷川元(編):新しい呼吸ケアの考え方 実践!早期離床完全マニュアル.慧文社.2015