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OTなら知っておきたい!慢性呼吸器疾患の3つのポイント

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呼吸器疾患の作業療法って難しくありませんか? 

本を読んでも、呼吸器障害の作業療法はあまり載っていないし、

載っていても「呼吸苦を楽にする動作方法」とかちょろっと載っているだけ。

ADLの動作方法が載っていても、実際の臨床場面では練習すべき回数なんてそれほど多くないことが多いです。

認知症の評価も何を見るべきかあまり公開されていないし、関わり方は結構難しいのではないでしょうか?

もちろん病態や疾患によっても変わりますが、基本として3つポイントを挙げてみます。

作業療法士の関わりでは、

認知機能評価 + ADL + コンディショニング

がポイントです。

一つずつ解説しようと思います。

 

認知機能評価

呼吸器疾患は動作方法やパニックコントロール、薬剤の使用方法など覚えることが多い疾患です。

 しかし、

意外と知られていませんが認知機能が低下するリスクの高い疾患です。

「低酸素血症に由来する記憶力の低下が生じる」

「COPDの約60%に認知機能障害が併存する」

「健常高齢者と比較し、約3倍MCIを併存する」

との報告があります。

まずは日常生活場面での記憶を評価します。

動作方法や薬剤の使用方法を記憶して実行できていればいいのですが、不十分なところは重要事項の張り紙などで対応します。

机上課題の評価はMMSEやMoCA-J、CDT、TMTなどで構いません。

余談ですが、机上課題の結果は医師に喜ばれることが多いです。 

ADL評価/訓練

上肢を挙上する動作は呼吸補助筋を使用します。

そのため、呼吸苦やSpO2低下につながりやすくなります。

上肢を机などに乗せたままできる動作を指導します。

ここまでは教科書どおりなのですが、臨床的にはここからが難しい。

 

自覚症状と他覚症状が異なる場合に備えるADL評価
自覚症状はBorgスケールや修正MRCスケールなどで評価できます。

他覚症状はspo2やフィジカルアセスメントなどです。

spo2が下がった時に自覚症状で倦怠感がある状態ならば分かりやすいですね。

spo2に注意して進めていけばいいので。

 

問題は自覚症状と他覚症状が食い違っている時です。

この原因にはいくつか仮説がありますが、中枢と抹消のミスマッチ仮説を推します。

中枢と末梢のミスマッチ

呼吸は脳の呼吸中枢で制御されますが、呼吸運動を支えるのは呼吸筋・呼吸補助筋です。

呼気と吸気のフィードフォワードとフィードバックがうまくいかない場合、

息苦しさや呼吸のしづらさ、つまり呼吸苦を感じます。

呼吸苦のメカニズムはまだ解明されておらず仮説ですが、臨床的にはこれを知っていれば対応しやすいです。

呼吸苦があるときは、一発解決する方法はありません。

SpO2を患者さんに見てもらい、自覚症状との食い違いを認識してもらってなるべく食い違いを減らしていくことです。

結構、認知機能を求められる作業です。

コンディショニング

呼吸苦がミスマッチであるとの仮定の話ですが、呼吸筋をストレッチしましょう。

難しいことはありません。

ホットパックなどの温熱療法、普段行っている関節可動域訓練、軽負荷の運動で大丈夫です。

また、呼吸・循環器疾患ともにうつを合併することが知られています。

うつは記憶力の低下や呼吸筋の緊張亢進を引き起こしてしまいます。

メンタルケアとして、OTの得意な面接や作業を取り入れてみましょう。

こう考えると、OTが呼吸器疾患に対してできることは、本当はもっと多いのかもしれませんね…

まとめ

OTは呼吸器疾患を学校であまり習わないので苦手意識がありますが、できることは意外と多いです。

面白いなと思って取り組んでいただける仲間が増えてくれると嬉しいですね。

参考・引用文献

玉木彰(監),解良武士(編).リハビリテーション運動生理学.メディックメディア.2016

 長尾大志:レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室 改訂第2版.日本医事新報社.2015

 本間生夫(監).呼吸リハビリテーションの理論と技術 改訂第2版.メジカルビュー社.2014

柴喜崇,下田信明(編).PTOTビジュアルテキスト ADL 第1版.羊土社.2016