理系作業療法士のブログ

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撓骨遠位端骨折の運動療法のポイント

撓骨遠位端骨折は作業療法で数多く出会う疾患の一つです。

撓骨遠位端骨折の運動療法のポイントをまとめてみました。

①浮腫管理 ②癒着予防/剥離操作 ③手関節背屈のために橈屈する

であると思います。

 

①浮腫管理

これは手指の自動運動や6 pack exやテーピングなど、

成書にたくさん記述があるのでそちらに譲りますが、私のおすすめは交代浴です。

自宅でもかんたんに行ってもらえますので、自主練習としても有効です。

浮腫を遷延させるとフィブリンが線維化して可動域制限の原因になりますので、可能な限り早めに取り除きます。

 

②癒着予防/剥離操作

もちろん癒着させないように早期から動かす・・・のは当然なのですが、尺骨骨折合併例や、不安定性の高い骨折などでは、固定期間を長くせざるを得ない場合があります。

(そうでないと骨癒合が不十分になる)

こちらも成書に記述がたくさんありますが、剥離操作を行うのはどこの筋か?どこを操作するのか?は重要です。

プレートの上には長母指屈筋、長橈側手根屈筋があります。

術創部の皮膚の癒着剥離操作だけでなく、これらを選択的にかき分けて動かす操作を行えることは重要です。 

触診技術が必要です。

 

③手関節背屈のために橈屈する

術創部が橈側にあること、疼痛を避けようとすると手関節尺屈位になること、

橈骨月状靭帯の短縮(掌側)などから、

近位手根骨列が骨折前よりも橈骨側に引っ張られていることがあります。

そうすると、手関節背屈時に月状骨が橈骨の月状骨窩にスムーズに収まらず、

背屈可動域が出ない、もしくは手関節背屈して荷重すると痛む、などの症状が見られることがあります。

 

そういうときは、手指側に近位手根骨列を牽引しながら尺骨方向に近づける操作と、

手関節背屈して近位手根骨列を掌側に牽引して橈骨月状靭帯をストレッチし、

手関節橈屈して橈側手根屈筋/伸筋を収縮させておきます。

最後に手関節背屈していくと、結構可動域改善することが多いです。

 

もちろん、骨、軟部組織を傷めないためにそれほど大きな力を加えませんし、疼痛のない範囲で行います。

こちらは、論文や書籍での記述をほとんど見かけたことがないので文献的根拠に乏しいのですが、 即時効果が結構でます。

 

撓骨遠位端骨折の運動療法は一見簡単なように見えますが、安全かつ早く治そうとするとかなり奥が深く、

機能解剖を頭の中に叩き込むことが結局一番の近道だと思います。

X線・CT画像を何万枚と見たり、骨の絵を書いたり、触診の練習をしたりと地道な努力を継続することが大切です。

何度復習しても、しすぎていることはありません。