理系作業療法士のブログ

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なぜバイタルサインを測定するのか?〜バイタルサインの意味〜

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簡単なようで意外に難しいのがこの質問です。

「とりあえず測ります」と言われた事があり、その時はちょっとビックリしましたが^^;

リハビリテーションの本質の記事で書いたとおり、活動や参加を増やすためには臥床時間を減らして可能な限り運動を増やすことが大切です。

www.rikei-ot.com

ただし活動量・運動量はその患者さんの状態によって全く異なります。

急性期ではとにかく起こすことが大事だし、回復期ではセルフケアだけでなく、屋外でも歩行訓練なども必要です。

リハビリに携わる者としては、「安全な範囲で可能な最大の活動量・運動量を知るために測定する」ことが重要です。

もちろん、バイタルサイン以外にフィジカルアセスメントや血液検査などの検査も活用しますが、今回はバイタルサインについてです。

バイタルサインとは何か?

バイタル(Vital)とは「生命の」が語源で、「人間に不可欠なもの」という意味です。(語源には諸説あります)

バイタルサインを構成するのは以下の6つです。

  1. 体温
  2. 意識障害
  3. 血圧
  4. 脈拍
  5. 呼吸
  6. 尿量

体温について

人間は体温を一定に保つ能力があるので、体温に異常がある場合、何らかの異常が生じています。感染症では体温が上がりますし、ショックなどがあれば体温が下がります。

 頻度の多い疾患としては、急性上気道炎やインフルエンザ、肺炎、尿路感染症、カテーテル感染が挙げられます。また、深部静脈血栓症でも上がることがあります。

『リハ安全ガイドライン』では、体温38℃以上では積極的なリハをしない、となっています。

尿路感染症は、リハ対象となる患者さんに多く、頻尿、排尿時痛、血尿や尿混濁が見られます。尿中の細菌量や、血液検査にて白血球(WBC)やCRPが上昇します。

低ADLや尿道カテーテルでは起こりやすいとされています。

意識障害について

意識障害は、大脳の広範な障害、脳幹の機能低下で生じることが多いですが、循環不全、呼吸不全、代謝不全などでも起こります。

意識状態は重症度と直結しているので、注意が必要で、せん妄の有無も絶対に確認する必要があります。評価スケールにはJCSやGCSがあり、ICUがある病院などではRASSスコアなども使用されています。JCSとGCSは鎮静されていない状態での評価であることに注意が必要です。

Japan Coma Scale(3-3-9度方式)

Ⅰ.覚醒している(1桁で表現)

 1.大体意識清明だが、今ひとつはっきりしない

 2.見当識障害がある

 3.自分の名前、生年月日が言えない

Ⅱ.刺激すると覚醒する(2桁で表現)

 10.普通の呼びかけで容易に開眼する

 20.大きな声、または体をゆすると開眼する

 30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する

Ⅲ.痛み刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現)

 100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする

 200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

 300.痛み刺激に反応しない

R:不穏 I:失禁 A:自発性喪失

 

Glasgow Coma Scale(GCS)

1.開眼(eye opening E) 

   自発的に開眼

 呼びかけで開眼

 痛み刺激で開眼 

 開眼しない

 

E4

 3

 2

 1

2.発話(verbal response V)

 正常に会話

 つじつまが合わない・混乱した会話

 でたらめで会話にならない

 うめき声などだけで言葉にならない

 声をださない

 

V5

 4

 3

 2

 1

3.手足の動き(motor response M)

 いわれた通り動かす

 痛み刺激を払いのける

 痛み刺激手足を引っ込める

 痛み刺激に対して肘を曲げるだけ

 痛み刺激に対して腕を伸ばすだけ

 動かさない

 

V6

 5

 4

 3

 2

 1

得点 15(満点) 意識清明

   7以下    昏睡

   3       重篤

 これらだけでなく、フィジカルアセスメントも合わせて評価する必要があります。

血圧について

高血圧は脳梗塞や脳出血などの急性疾患、慢性心不全や腎不全などの慢性疾患で起こります。

低血圧は起立性低血圧や貧血、脱水、ショックなどで起こります。臨床的にやっかいなのは高血圧よりむしろこちらです。

起立性低血圧は、上半身の血液が下半身に流入し、自立神経系や末梢血管応答がうまくいかず、血圧が低下する状態です。

 脈拍について

回数も大事ですが不整脈を見る必要があります。

脈拍にはリズムとレートがあります。不整脈を改善する薬剤にも、それぞれ別にコントロールするための薬剤があります。

心電図モニターを装着されている場合、致死的な不整脈や危険な不整脈を見極める必要があります。心室早期収縮(PVC)や心室期外収縮(VF)、無脈性心室頻拍(VT)などです。国試では覚えますが、実際にはモニターに表示されますので、見極めようとモニターを見つめる必要はないです。

呼吸について

パルスオキシメータで測定するSPO2は、酸素飽和度といって末梢での酸素の量を測定しています。簡単に酸素飽和度を測定でき、脈拍や機械によっては脈波を見ることもできるため、便利な測定法です。呼吸数も計測する必要があります。

尿量について

水分のIn/Outバランスを見ることが大切です。

飲水or食事or点滴で水分を摂取していますが、水分摂取量が少なく尿量が多い場合、脱水となり不調をきたします。また、心不全の治療薬は利尿剤といって、体の水分を減らす作用のある薬剤が中心ですので、脱水にも注意する必要があります。ツルゴール低下などのフィジカルアセスメントや、看護師が尿量を記録してくれている記録などから知ることができます。血液検査の尿素窒素(BUN)/クレアチニン(Cre)でも脱水かどうか分かります。一日の尿量は約1000~1500mlです。

In/Outバランスはリハ職より看護師の方が詳しい事が多いので、一度聞いてみると良いかもしれません。

まとめ

バイタルサインについて知ることで、より踏み込んだ内容のリハビリテーションを提供することができるようになり、リハを中止する必要がある時は中止する決断ができるようになります。ぜひ一度、意識して測定してみてください。